科目名 | 社会学研究 I |
担当者 | 渡戸 一郎 |
単位数 | 4単位 |
配当年次 | 2年 |
科目区分 | 必修 |
実地学期 | 通年 |
授業形態 | 講義 |
講義概要 | このゼミでは、都市社会調査の文献(モノグラフ)をしっかりと読み、その面白さを知ること、そしてそこから3年次ゼミのフィールドワークへとつなげることを目標に置く。 社会調査には、量的調査(統計調査)と事例調査(質的調査)があるが、今年度は後者に焦点を当てる。具体的にはまず、都市社会学の古典的文献のひとつ、W.H.ホワイトの『ストリート・コーナー・ソサエティ』有斐閣刊(以下、SCSという)を精読する。原著は、1943年に初版が出ているが、使用する有斐閣版は実に40年後の1993年に刊行された第四版の全訳である。
SCSの舞台は、1937年冬から1940年夏までのボストン市街地周辺のイタリア人コミュニティ「ノース・エンド」。当時は「イタリアン・スラム」として人口2万人程度の周辺世界が展開していた。ここにハーヴァード大学の大学院生ホワイトが、まるで「異郷」に旅するかのように引き寄せられて、家族、近隣住区、学校、教会などの基礎的集団から逸脱し、街角にたむろする若者グループの生活世界の構造をその内部から読み解いていく。 質的調査には、調査者が調査対象の人物・集団・地域を外部から通って調査する方法(聞き取り調査)と、対象集団や地域の内部に深く入り込んで観察する方法(参与観察法)があるが、SCSはまさに後者の面白さを十二分に伝えてくれる。
ゼミは、ホワイトのSCSを熟読玩味したその勢いで、他の魅力的なエスノグラフィへと読み進むかもしれない。あるいは、同じく質的調査法としての「ライフ・ヒストリー法」に関する文献が近年続々と刊行されているので、例えば、谷富夫編『ライフ・ヒストリーを学ぶ人のために』(世界思想社)を、各自の問題関心にもとづいて分担講読することになるかもしれない。あるいはまた、ライフヒストリー法によるインタビューを実際に試みることも考えたい。 |
評価方法 | ゼミにおける報告内容と議論の活発度、及び年数回のレポートによる。 |
教科書・参考書等 | 教科書:W.H.ホワイト(奥田道大・有里典三訳)『ストリート・コーナー・ソサエティ』 有斐閣、3,800円 参考書:谷富夫編『ライフ・ヒストリーを学ぶ人のために』世界思想社 佐藤郁哉『フィールドワーク−書を持って街へ出よう−』新曜社 |
その他(履修条件、履修上の注意事項) | |
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