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科目名教育学演習T
担当者高橋 史朗
単位数2単位
配当年次3年
科目区分必修
実地学期通年
授業形態演習
講義概要私語や立ち歩きなどによって小学校の授業が成立しない「学級崩壊」問題が注目を集めている。私が始めた「学級崩壊」等に悩む教師を支える全国ネットワーク組織のことがNHKの朝のニュース番組や新聞の一面トップ記事で大きく報道されたため、全国各地から700件を超える問い合わせ、悩み相談が殺到し、海外の15カ国からも問い合わせがくるなど、「学級崩壊」問題に対する内外の関心は極めて高い。
 小学校で起きている「学級崩壊」は、低学年と高学年とでは質が異なる。低学年の場合には、教師にかまってもらいたいという甘えや基本的生活習慣の欠如、情緒不安定や自己制御装置欠如などの問題が根っこにある。高学年の場合には、担任教師への不満などが引き金となって、子ども集団による教師へのいじめ、挑戦に発展し、「遊び型いじめ」の対象が子どもから担任教師に広がったものと捉えることができよう。
 IQを高めることに偏ってきた近代学校教育のあり方を根本的に転換し、「生きる力」すなわち、総合的な人間力を育てる必要がある。中教審答申によれば、「生きる力」の核となる豊かな人間性とは、@美しいものや自然に感動する心などの柔らかな感性A正義感や公正さを重んじる心B生命を大切にし、人権を尊重する心などの基本的な倫理観C他人を思いやる心や社会貢献の精神D自立心、自己抑制力、責任感E他者との共生や異質なものへの寛容、など感性や心である。
 これらの感性や心を断片的にではなく、構造的に捉え、ホリスティック(包括的)な視点に立脚して、いかなる学習環境のもとで、具体的にどのようなカリキュラム内容と教育方法、教育評価に基づいて育てていくのか、という教育実践の深化が今後の日本の教育の大きな課題といえる。「生きる力」の育成を目指す総合的学習や「感性・心の教育」については、子どもの体験活動や学習活動の連続性という子どもの側に立った視点から教育内容・方法・評価を根本的に見直す必要がある。従来の相対評価や観点別の到達度評価として点数化することは不可能であり、自己発見から自己尊重、自己実現へとつなげる「自分探しの旅を扶ける」評価こそが求められる。従来の学習観(授業観)、教育研究観、子ども観、評価観を根本的に見直す教師の意識改革が必要不可欠といえる。
 そこで、本演習では、学習指導要領の改訂を踏まえ、総合的学習などで「感性・心の教育」をどう実践するか、「学級崩壊」を未然に防止する学校教育の根本的転換、「学級崩壊」への具体的対応について、「臨床教育学」の新たな視点からアプローチしていきたい。
評価方法出席点と発表・討論内容を加味して評価する。
  
教科書・参考書等テキスト:高橋史朗 著 『「学級崩壊」10の克服法』(ぶんか社)
その他(履修条件、
履修上の注意事項)
出席は厳しくとるので注意してほしい。