明星大学トップへ戻る シラバストップへ戻る


科目名社会学研究T
担当者渡戸 一郎
単位数4単位
配当年次2年
科目区分必修
実地学期通年
授業形態講義
講義概要年間テーマ「越境する人びとと都市社会の変動−その意味を解きあかす−」
 現代都市への社会学的アプローチの導入として、「越境する人びと」に焦点を当てて、今日的な都市社会の変容の意味を考えていく。「都市的世界」は本質的に社会的異質性が高い世界だが、ここでは人種・民族的異質性、あるいはエスニシティの次元をとりあげることになる。多次元的に進行する今日のグローバル化は、従来の「国民国家」の枠組みに揺らぎをもたらすと同時に、一定の地域の新たなローカル化を呼び起こす。とりわけ「都市」はそうした場になっている。私たちは、都市における外国人労働者、移民、亡命者、多国籍企業エリートなどの主体に注目して、その様相を捉えていきたい。
 前期は共通文献として、下記の二書を精読する。杉原の著作は、日本の植民地支配下の済州島(朝鮮半島の南端に位置する)から、近代産業都市・大阪に流入した朝鮮人労働者の生活世界の形成が、当時の日本人社会にとってもった社会的意味を解きあかす。本書の帯には、「近代大阪の発展は朝鮮からの労働者ぬきには考えられない。暮らしの中で朝鮮人と出会った日本人の外国人認識はどのように形成されてきたのだろうか」とある。今日の移民労働者と日本社会を考える糸口になるテキストとして読みたい。
 次の町村の著作は、「多人種都市」ロスアンジェルスを舞台に、越境してきた亡命者や移民たちが、どのような社会的葛藤と共生の条件を創りだしてきたのかを、歴史的、また今日的に捉え返し、私たちに多民族・多文化都市のひとつの社会的モデルを提供してくれる。ここには、定住している日系人と短期滞在者としての日系企業駐在員の関係も含まれている。
 後期は、例えば次のような、いくつかのグループに分かれて、各人の関心に沿った研究を進めることにする。@在日韓国・朝鮮人研究班、A中国帰国者研究班、B日系人労働者研究班、C超過滞在外国人研究班、D移民都市研究班(ロンドン、ニューヨーク、シンガポールなど)。フィールドワークも折り込み、年間を通して、受講者の社会認識が大きく広がり、深まることを期待している。
評価方法ゼミにおける報告内容と議論の活発度、及び年数回のレポートによる。
  
教科書・参考書等教科書:杉原 達『越境する民−近代大阪の朝鮮人史研究−』新幹社、2000円
     町村敬志『越境者たちのロスアンジェルス』平凡社、2500円
 参考書:駒井洋『日本の外国人移民』明石書店、2800円
     駒井洋ほか『新来・定住外国人がわかる事典』明石書店、2884円
  
その他(履修条件、
履修上の注意事項)