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科目名社会学研究T
担当者樋口 辰雄
単位数4単位
配当年次2年
科目区分必修
実地学期通年
授業形態講義
講義概要今からおよそ百年前、ある社会学者は次の様な主旨を述べている。学問の発展はある「
文化価値」「価値理念」の下で営なまれ、その下で膨大な数に昇る研究がなされ、それが
自己目的化してしまう(学問対象のアナーキズムを、ある著書の中でジンメルは指摘している)。だが、流動化する時代状況−今日の日本の様に−は、過去を尊重しつつも、新たな星を目指して進むものだ、と(「いつかは色彩が変わ。無反省に利用された観点の意義が不確かとなり、道が薄暮のなかに見失われる。大いなる文化問題が、さらに明るみに
引き出されてくる」)。
 戦後半世紀を経過した現在から振り返ると戦後の復興、高度経済成長、石油危機、土地不動産投機、バブル経済の謳歌とバブルの破裂、右肩上りの経済から右肩「下り」の経済の恒常化、少子高齢化社会の到来、情報化社会。このように地域全体が「流動化」し、日本社会もドイツ、フランスの如く外国人労働者を必要とする姿などを考慮すると、新たに「思想の高みから事象の流れを見渡そうと身構える」ことが、どうしても不可欠である。しかし依然として政策の目標として、経済至上主義がプライオリティーを有し、本当に日本人は歴史から学んだのかと、或るドイツ人学生が問うたと言われている様に、私達はもう一度、ハンマーを振って全事象を問い直す必要があるように思われる。
 さて研究Tの件であるが、前期と後期に分けて行なう。前期は、未だ2年生の始まりなので、急がずゆっくりと以下のテキストから選んで進めたい。その具体的手順、人的編成、
討論の仕方、レジュメ作成など運営上の事柄に関しては、スタート時に数回費して、ゼミ
生と教員の間でつめ、スムーズに軌道に乗るよう協力したい。後期は、諸氏の先輩達が頑張って一定の見本を見せてくれたので、これに学び、これに反省を加えて、やってなかった、参加して意義があったと思える学生「主体」のゼミを構築して欲しい。こうした積極
的精神を2年間のゼミ活動を通じて養い、人生の本番である「社会・職場・家庭」へと巣立って行って欲しい。
評価方法出席回数、レジュメ報告義務、グループを盛り立てる熱意、レポート提出。
  
教科書・参考書等教科書:マックス・ウェーバー『官僚制』(阿閉・脇訳、恒星社厚生閣)
    :司馬遼太郎『「昭和」という国家』(日本放送出版協会)
 
その他(履修条件、
履修上の注意事項)